【書評】『ルーズヴェルト・ゲーム』 池井戸潤
池井戸潤といえば、半沢直樹シリーズで一躍有名になりましたが、ブームになる前からその他の小説もかなり売れている作家ですね。
「ルーズヴェルト・ゲーム」とは野球好きで知られるアメリカの元大統領フランクリン・ルーズヴェルトが「8対7」で決着する試合が一番面白いと発言したことが起源となっています。
企業スポーツという、あまり注目されることがないテーマを題材にしながらも池井戸潤らしい「嫌な大人たち」が存分に登場する作品です。
世間一般にとってもそうかも知れませんが、私にとって池井戸潤さんの作品の一番の魅力は「嫌な大人たち」が最終的にはやられてしまうところです。
この小説においても嫌な大人たちはたくさん出てきますし、読んでいて胸くそ悪い思いをたくさんすることになります。
しかし池井戸潤ならこの悪い大人たちをやっつけてくれると読者は知っているので、安心して読み進めることができます。
この小説は監督が裏切りをして、ライバルチームに移籍するところから始まりますが、この監督が作品を通して、安定していやなやつです。
こういった相手を見返すストーリーは池井戸潤のお家芸です。
”正義は勝つ”的な要素をどの作品でも発揮し、自分がちゃんとした生活を送っていこうと思わせてくれる作品が、私にとって池井戸作品の最大のポイントです。
また実際に銀行で働いてた作者ならではの視点を垣間見ることができ、普段みることのできない他の会社の様子を想像することができます。
大学生時代に半沢直樹シリーズの作品を小説で読んで、「絶対に銀行への就職だけはやめておこう」と思ったのは良い思い出です。
もちろんフィクションなので全てが真実ではないのでしょうが、それにしても銀行という組織の裏側を垣間見ることができますね。
なにか会社で悩み事があったりして、スカッとしたいときにはおすすめの作品です!